クリエイティブ・インスパイア

現代美術の専門誌を中心に事業展開する「美術手帖」と、簡単に本格的なデジタルペイントが楽しめるペイントソフト「openCanvas」によるコラボレーション企画です。4名の若手アーティストが、「openCanvas7」を用い、新たな表現を切り拓きます。そこではどんな化学反応が起こるのでしょうか。openCanvasで作品を制作したその手応えに迫ります。

vol.4 conixさん

もっとラフな絵も描いてみたいと思っていた───

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キュートな女性のイラストで人気を博すconixさん。ペイントソフト「openCanvas(以下、oC)」で全工程のデジタルペイントに挑んで制作された作品は、意外にもアナログの魅力に溢れたものでした。その魅力と意図について、本人を探ります。

デジタルで挑む、アナログさ

── 絵の描き方やプロセスは普段と比べてどうでしたか。

conix 全然違いましたね。いつもはアナログで描いた線をスキャンして、デジタルで色をつけることが多いです。今回のように最初から最後までデジタルで描くことは、滅多にありません。

── 以前はデザイナーをされていたというのをお聞きして、普段からすべてデジタルで描いているのかと思っていました。

conix 「パス(※Illustratorなどのベクターデータ)を使って描いているんですか?」とよく聞かれます。つい、パキっと線を決めすぎちゃうんですよね。でも、もともとはアナログの線が好き。デザインの仕事はパスで描くことが多いので、そのフラストレーションが溜まって手描きになったのかもしれないです。マンガは大好きで、血肉みたいなもの(笑)。マンガ(『青高チア部はかわいくない!』2017〜18年、全3巻)を始めたのは自然な流れでした。

── 作品を見ると、普段のイラストと比べて、線にアナログな揺れを感じます。デジタルがラフさに近付く助けになったんですね。

conix 手ぶれ補正を使うと自分の意図していない部分が補正されてストレスになってしまうので、手ぶれ補正はあえてオフにしています。

今回はザクザクっと描いたラフを半透明のレイヤーにして、ペン入れしました。ザクザク描いて、ベタベタ塗って、ラインを削って……。普段はなかなかやらない描き方です。もっとラフな絵も描いてみたいと思っていたので、今回、oCを使ってそのヒントを得られたような気がします。

── 補正の手間が省けるのがフルデジタルのメリットですが、あえてそれをしないのが面白いですね。削る作業は、デジタルならではの工程だったでしょうか。

conix アナログでも結構やりますよ。紙にマーカーでラフを描いて、修正ペンで削ります。デジタルだと修正の跡が残らないのが最高ですね(笑)。

撮影=Shinya Rachi

oCの使い勝手のよさ

── イベント機能の映像を見ていると、一つのフレームから女の子の顔、髪型や服が変わっていく。着せかえ人形のようですね。

conix 1枚の基本形をつくって、レイヤーをコピーして、色を変えて、削って、足して、と。1枚の絵をもとにパターンを変えて何枚も描く方法も、これまではあまりしなかったので、それができて面白かったです。

── 実際、oCの使い心地はいかがでしたか。

conix 使いやすかったです。特に「ショートカットコントロールウィンドウ」の「アンドゥ(元に戻す機能)」が、便利でした。普段使っているソフトでは、キーボードの「コマンド」か画面上の「メニュー」から「アンドゥ」を使っています。でも画面上に「アンドゥ」のウィンドウがあると、勢いを入れて描くのに便利で、スムーズに描けました。おかげで、なんとか締め切りに間に合いました(笑)。

── 今後チャレンジされたい絵などはあるのでしょうか。

conix 今の描き方を突き詰めていこうかと思います。これからはマンガをもっとやっていきたいので、その表現の幅を広げたいですね。
でもアナログにこだわり続けたいわけではなく、相性のいい道具を見つけたら使ってみたいです。自分のやってきたことに飽きて表現の幅を広げたくなったり、老眼になったりしたときに。

── 老眼になったときですか?

conix 年齢を重ねたら、簡単にイラストを拡大できるデジタルにお世話になる気がしています(笑)。

Profile

イラストレーター、マンガ家。主なマンガに『青高チア部はかわいくない!』(2017〜18年、KADOKAWA)。

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